絵本で日本語 教えてます

外国人や外国にルーツのある子どもに日本語を教えるための 教材としての絵本紹介

「こねてのばして」ヨシタケシンスケ

[文型]Vて形

「絵本で教えるにほんご」でもて形の文型で紹介されていた本です。

て形は初級の山場の活用です。
活用ルールはありますが、特に低学年の場合は口慣れしてしまった方がルールを教えるよりも覚えが早いです(小さい子が使う動詞は少ないので)。この絵本は、全体がて形でつながっています。
JSL児童には好評でしたが、インターナショナルスクールなど、外国にいる子の一部の中には「不潔だ」と不快感を表す子もいました。もしかしたら、郊外と都会の違いもあるかもしれません。

「だれのほね?」たけうちひかる

[文型]NのN(持ち主) こどものにほんご2課 みんなの日本語2課

 

だれのほね?

だれのほね?

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「絵本で教えるにほんご」でも持ち主の「の」の文型で紹介されていた本です。
どうぶつの骨格と「だれのほね?」と書かれたページをめくると、どんな動物の骨だったのかわかります。
ある程度どうぶつの単語カードなどを行った後の方が楽しめますが、
まだほとんどひらがなが読めない子でも、骨の形を見て母語で動物の名前を言い合って盛り上がります。
表紙の裏一面に描かれた人の骨と、その中に一体だけちがうものが混じっているのも、見つけた子は大盛り上がりです。
骨の絵にもかかわらず、切り絵の絵はとてもかわいいです。

「とこちゃんはどこ」松岡享子

[文型]~はどこですか ここです

こどものにほんご3課 みんなの日本語3課

子どもが大好きな探し絵絵本です。
指示詞を用いてすぐにどこかに行ってしまう"とこちゃん"を探します。
「とこちゃん」という言葉の響きも口にして楽しいようです。
「とこちゃんはどこですか」と聞き、探してもらいます。
「ここですね」と確認します。
イ形容詞導入後なら、「赤い帽子」など、特徴を確認させます。
もう少し話せる子には、「なにの前にいますか?」と聞きます。
話すことに長けたJSL児童生徒でも、「たいやき屋」や「八百屋」など、知らない場合が多いので、都度説明をします。
冒頭部分が少し長いので、時間や理解度により、簡単な説明だけして省いてしまっても良いかもしれません。

「1ねん1くみの1にち」川島敏生

[文型]〜ねんせいです ここ/そこ/あそこは~です・ですか

こどものにほんご1・3課

みんなの日本語3課

ひらがなが読めるようになり、カタカナと数字も教え終わった1~2年生に読みます。

実際の校舎を歩いた後で比較しても良いです。

2年生には、自分の1年生の頃のことを思い出してもらい、違いを話させるのもいいです。
最後に出てくる夜の学校の様子は、盛り上がるポイントです。

このサイトについて

こんにちは。日本語を教えています、榛原です。
教える相手は、主に、外国人児童です。
親の仕事の関係で日本に来た子や、進学のために来た子、日本で生まれた外国籍の子などに日本語を教える仕事をしています。
公立の小学校や中学校、日本語のスクール、オンラインレッスンなどで教えています。
大人の生徒もいますが、なぜか私が受け持つ生徒は子どもばかり。。。正直、子どもが大好き!というわけでもないので、ああ大人に教えたいな、その方が楽なのに!と逆立ちをし続ける子を席につかせたり、静かに!と何度も人差し指を立てたりしながら思っていたのですが、いざ、念願の大人の生徒を持ってみると、なんだか物足りない…。
いえいえ、もちろん授業は楽しいし、スムーズで、とても良いのですが、子ども相手の授業は、ぐっちゃぐちゃになることもありますが、楽しいのです。こちらが予想しなかったことが、毎ターン出てきます。そして、通じなかった言葉が通じるようになり、語れることが多くなると、この子はこんな性格だったのかとまた新しい発見をしたり。
最初は心細そうに私の手を握りながら授業を受けていた子も、かたくなに日本語を話そうとしなかった子も、自信をもって話すようになる姿は、とてもたのもしいです。

私が教材として使用している教科書は、ニーズやレベルによって様々ですが、ひとつだけ共通しているのは、絵本を読むことです。
「絵本で教えるにほんご」という野呂さくえ先生が書かれた教師向けの本を基に、授業で使える文型が出来たらそれが出てくる絵本を読むようにしています。
また、季節に関する絵本や、公立小学校では学校行事に関する絵本も読みます。
1コマ45~1時間しかないので、その中で読めるように短い話を持っていきます。ひらがなが読めるようになってきたら、一度全部読んだあとに、一文ずつ、一段落ごと、1ページずつなどと分け合って読みます。(公立小ではその日教えた文型が教科書にあれば、教科書を読みます)
公立小・中学校に通っている子には、話しながら(また特に必要な技能を見ながら)、後攻シラバスで授業を組み立てています。
いわゆる外国語として日本語を学んでいる子たちには、「こどものにほんご」や「中学生のにほんご」の教科書を中心に、後半になったらいろどりを取り入れたりNHKニュースのやさしいにほんごを読んだり、小学生新聞を読んで説明したり感想を言い合ったりしています。

授業内容に関しては、私もまだ試行錯誤しています。
授業で使用した絵本が多くなってきて、自分で一度整理をしたいと思ってブログをたちあげました。
皆さんのお役に立つことがあれば幸いです。
また、どれもとても良い絵本ですので、小さいお子さんをお持ちの日本語母語話者の方にもおすすめです。